情報公開法第八条

HOME » 情報公開 » 開示決定等に関する審査基準 » 開示決定等に関する審査基準 » 情報公開法第八条

開示決定等に関する審査基準

(平成十三年四月)

情報公開法第八条(行政文書の存否に関する情報)

第八条 開示請求に対し、当該開示請求に係る行政文書が存在しているか否かを答えるだけで、不開示情報を開示することとなるときは、行政機関の長は、当該行政文書の存否を明らかにしないで、当該開示請求を拒否することができる。

1. 第八条の中の個々の概念の意義
(1) 「開示請求に係る行政文書が存在しているか否かを答えるだけで、不開示情報を開示することとなるとき」とは、開示請求に係る行政文書が具体的にあるかないかにかかわらず、開示請求された行政文書の存否について明らかにすれば、不開示情報を開示することとなる場合をいう。開示請求に係る行政文書が存在していれば、開示決定又は不開示決定を行い、存在していなければ不開示決定を行うことになることから、行政文書の不存在を理由とする不開示決定の場合以外の決定では、原則として行政文書の存在が前提となっているが、開示請求に係る行政文書の存否を明らかにするだけで、第五条各号の不開示情報を開示することとなる場合がある。
(2) 「当該行政文書の存否を明らかにしないで」とは、文字通り行政文書の存否を明らかにしないことを意味するが、そのような様態で行われた、開示請求を拒否する決定も、申請に対する処分であることから、行政手続法第八条に基づき、処分の理由を示す必要がある。提示すべき理由の程度としては、開示請求者が拒否の理由を明確に認識し得るもの66であることが必要であると考えられる。また、個別具体的な理由提示の程度については、当該情報の性質、内容、開示請求書の記載内容等を踏まえ、請求のあった行政文書の存否を答えることにより、どのような不開示情報を開示することになるかをできる限り具体的に提示する必要がある67。
(3) 「開示請求を拒否」とは、当該開示請求について不開示決定を行うことである。

2. 第八条を適用する基準
(1) 開示請求に含まれる情報と不開示情報該当性又は対象行政文書の存否とが結合することにより、不開示情報が明らかとなるような開示請求については、当該開示請求により特定される行政文書の存否を明らかにせず不開示決定を行う。例えば、特定の個人の名を挙げて、その病歴情報が記録された文書の開示請求があった場合、当該行政文書に記録されている情報は不開示情報に該当するので、不開示であると答えるだけで、当該個人の病歴の存在が明らかになってしまう。このような特定の者又は特定の事項を名指しした探索的請求は、第五条各号の不開示情報の類型すべてについて生じ得る。
(2) 存否を明らかにしないで拒否することが必要な類型の情報については、常に存否を明らかにしないで拒否することが必要であり、例えば、行政文書が存在しない場合に不存在と答えて、行政文書が存在する場合にのみ存否を明らかにしないで拒否したのでは、開示請求者に当該行政文書の存在を類推させることになる。

3. 第八条を適用すべき情報の例又は類型例
以下に第八条に該当するとして、存否を明らかにせず不開示とすべき情報の例を掲げる。
(1) 特定の個人の病歴に関する情報(第五条第一号関係)
(2) 先端技術に関する特定企業の設備投資計画に関する情報(第五条第二号関係)
(3) 情報交換の存在を明らかにしないとの了解の下で他国等との間で交換された情報及びその情報交換の存在を示す情報(第五条第三号関係)
(4) 犯罪の内偵捜査に関する情報(第五条第四号関係)
(5) 買い占めを招くなど国民生活に重大な影響を及ぼすおそれのある特定の物質に関する政策決定の検討状況の情報(第五条第五号関係)
(6) 特定分野に限定しての試験問題の出題予定に関する情報(第五条第六号関係)

(参考)

行政手続法(抄)
(理由の提示)
第八条 行政庁は、申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合は、 申請者に対し、同時に、当該処分の理由を示さなければならない。ただし 法令に定められた許認可等の要件又は公にされた審査基準が数量的指標そ の他の客観的指標により明確に定められている場合であって、当該申請が これらに適合しないことが申請書の記載又は添付書類から明らかであると きは、申請者の求めがあったときにこれを示せば足りる。
前項本文に規定する処分を書面でするときは、同項の理由は、書面により示さなければならない。
66 一般人を基準として明確に認識できるものを意味するものであって、個々の開示請求者が明確に認識できるものではない。
67 例えば、「請求があった○○の情報が記録された行政文書の存否を答えることにより、第五条第○号の不開示情報に該当する○○という情報(事実)が開示されるのと同様の結果を生じさせるため、第八条の規定に基づき不開示とする。」等の理由を記述することを原則とする。