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令和5年8月 発行
校 長 鶴見 智
現代社会は先行きが不透明(VUCAと呼ばれます)です。また多様化しています。この社会で活躍していくためには、4つのC(アメリカ教育省はじめ20以上の組織や教育専門家によって提唱された)を身につけることが必要といわれています。その4つとは、Critical thinking(与えられた答えだけに頼らず、あらゆる問題を自分の力で分析し解決できる)、Communication(さまざまな人と意思疎通ができる)、Collaboration(協力しあうことができる)、Creativity(創造力を発揮できる)です。皆さんはこう聞いても自分たちとは関係ないと思われるかもしれませんが、日々の授業、グループでやる実験実習や各種コンテスト、課外活動など協働して行う作業で培えるのです。しかしどのくらい身についているかわかりませんね。
実は本校ではPROGという「社会で求められる汎用的な能力・態度・志向=ジェネリックスキル」の測定テストを導入しています。昨年度の結果を見ると、リテラシー要素(問題解決力、言語処理能力)は、高校生と比べてすべて上回っています。コンピテンシー要素(対人基礎力、対自己基礎力、対課題基礎力)は、高学年生では所属コースにより違いはありますが大学生等と比較して劣ります。特に親和力、協働力、自信創出力、課題発見能力等が低いです。簡単に言ってしまうと実践的に問題を解く力はあるが環境に実践的に対処する力が弱いということです。高学年でコンピテンシー要素が落ちていることが気になります。
いつも述べていることですが、籠らず、留学やボランティア等いろいろなことにチャレンジする、実体験を通したコミュニケーションをとることがコンピテンシーアップに繋がります。
知能ロボットシステムコース 寺井 久宣
私の授業を受けた本校の在校生や卒業生のほとんどは、「寺井は歯車が好きだ。」と思っているようです。それは誤解ですので、ここで説明しておきましょう。
大学を卒業して会社勤めをしていました。約40年ほど前です。新入社員の私に課せられた仕事は「歯車の形をした砥石を新しく開発するので、砥石の表面にある粒一個にかかる力を計算しろ」というものでした。まずは歯車の噛みあい状態を理解し、それを基に力を計算しなくてはいけません。正確な値を求めるためには、材料の変形性能を示す特殊な数値が複数必要です。そのため、すぐには求められないことが分かりました。では実験で求めようということになり、粒が1個だけついた工具を作って、力を測定しようとしましたが、これもうまくいきませんでした。結局、取りあえず実際に作って、使ってみて、うまくいかないところを改良しながら開発を進めることになりました。このようにして入社1年目は歯車を加工する研究だけで過ぎていった感じでした。ちなみに歯車を削って加工することを「歯切り」と言います。この後も会社の仕事の半分は歯切り関係でしたので、結果としてかなり詳しくなりました。三次元的な空間を三角関数を使いながら、答を求めてあれこれ考えをめぐらせるのは、性に合ってると気づきました。
というわけで、歯車はとても面白いので、皆さんに話す時についつい夢中になっているだけなのです。
情報システムコース 川田 昌克
高専間の人事交流制度により、4月より実家からの通勤圏内である北九州高専でお世話になっております。3月までは京都府北部にある舞鶴高専に25年間、勤務していました。専門分野は「制御工学」です。高校卒業後、35年間、関西に住んでいましたので、もはや浦島太郎状態です。
さて、同じ高専とはいえ、学校の雰囲気や制度は異なる部分も少なくありません。たとえば、舞鶴高専は全学生の約7割が寮生で出身地も様々でしたが、北九州高専は都市型高専で通学生が多くを占めています。舞鶴高専には制服がありませんが、北九州高専では3年生まで制服があり、3年生以下と4年生以上とで違いを持たせているように感じます。
赴任してまだ3ヶ月ですが、最も印象に残っているのは、体育祭での盛り上がりです。つぎは、高専祭がどんな感じなのかと、今から楽しみにしています。
一般科目 海上 尚美
今年度より一般科目で歴史を担当します、海上(ウナカミ)です。さりげなく珍姓です。教科書に出てくる昔の誰かほどの偉業は成し遂げないまま人生を終えるのでしょうが、目の前にいる教員もぜひ覚えてやってくださいね。
授業の初めのワークで「なんで高専に来たの?」と聞きました。率直な答えに、来てよかったなと思いました。今までは、東京の公立高校に勤めていました。いろんな状況に遭遇しながら「高校って何するところ?」と考え始め、考えているうちに高校ではないところに来てしまいました。また、学校と博物館についてもあれこれと考え、授業の内外で博物館の持っている資源を活用することに力を注いでいます。
北九州高専の皆さんと博物館を楽しむことが、私のちょっとした志です。きっと果たせるはずなので、遠大なものではないですが、皆さんの雄飛のきっかけになると嬉しいです。
一般科目 北原 沙友里
源氏物語をロシア語に訳したことで知られるТ. Л. Соколова-Делюсина氏が、万葉~近代までの日本の女流歌人たちの和歌を集め、ロシア語に翻訳した本があります。その本の前書に次のようなことが述べられています。
сумевшими оставить свой голос в этом мире, 《тепло своего дыхания на стеклах вечности》.[i]
この一節はロシアの詩人О.Э. Мандельштамの詩を踏まえており、元の彼の詩では次のように表現されています。
На стекла вечности уже легло
Мое дыхание, мое тепло.[ii]
両者はどちらも、自分の存在の跡が世界に残ることを、呼吸(дыхание)の跡が硝子(стекло)の上に残ることに喩えて表現しています。
マンデリシタムや日本の歌人たち、つまり詩人は、詩を作ることによって硝子の上に呼吸を残しました。皆さんならどうやって硝子の上に自らの呼吸を残しますか。
一般科目 川浪 朋恵
4月に着任しました、地理担当の川浪です。いわゆる「北九州都市圏」の岡垣町で育ちました。家の近くには、鹿児島本線が通っています。小学2年生の時、父に時刻表を買ってもらい、目の前の線路が全国につながっていることを知りました。それ以来、青春18きっぷなどを使って、鉄路の旅に出るのが好きです。旅先での美味しい食べ物、人々の暮らし、自然の美しさなど、地元での日常とは違ういろいろなものを肌で感じ、なぜこうなるのだろうと想像しながら、たくさん歩きまわり、いろんな人と出逢いました。
皆さんにも、時間のある学生時代にぜひ旅に出て、多様な経験をしてほしいと思っています。旅先で感じた「なぜ」を解く楽しみ、そして地理の面白さを知ってもらいたいと、空回りしつつ張り切って授業に取り組んでいます。どうぞよろしくお願いいたします。
一般科目 伊藤 慎太郎
本年度の4月に一般科目の助教として着任しました伊藤慎太郎です。担当は物理で、素粒子物理学を専門としています。
大学院生時代はカナダのTRIUMF研究所にて研究を行っていました。博士号を取得した後は、岡山大学で5年間働いていました。そこでは、2015年に東京大学の梶田先生がノーベル賞を受賞されたことでも知られている、Super-Kamiokande実験をしていました。その後2年間は高エネルギー加速器研究機構で2年間研究をしていました。そこでは、2008年に小林先生と益川先生がノーベル賞を受賞されましたが、その小林・益川理論が正しいことを証明したBelle実験をよりアップグレードしたBelle II実験を行っていました。
今日ではさまざまな科学技術が溢れていますが、これらのベースとなっているのは基礎科学です。エンジニアを目指すにあたって、基礎科学を疎かにしてはいけません。基礎科学の大切さや面白さをみなさんに伝えられるようにしたいと思います。よろしくお願いします。
1年4組 宮本 凱成
半ば成り行きのような形で入った学生会。初めての仕事である体育祭を終えて残ったのは、大きな達成感でした。念入りな準備や前日のリハーサル、当日の運営、そして片付け。大変だと思うことやアクシデントもありましたが、それよりも学生会員全員で体育祭を作り上げたという喜びが大きく、私は学生会に入ってよかったと思いました。
私が学生会にいる理由のひとつとして、人間関係があります。同級生はもちろん、先輩たちとの交流が多いため、先輩と仲良くなれます。先輩たちはみんないい人で、仕事を教えてくれるだけでなく、たくさんコミュニケーションをとってくれて、とても楽しいです。
これからも学生会の一員として、先輩の、そして学生全員の役に立てるように頑張っていきたいと思います。
1年5組 髙尾 駿
私がこの学校に入学してから3か月がたちました。この学校に対してのイメージは入学する前はとても自由で極端に言うと「自由が与えられる学校」という風にまで思っていました。しかし、クラスマッチや中間テストなどの様々な行事を参加するにつれて入学前に思っていた「自由が与えられる学校」という認識が変わりました。どのように変わったかというと、「自由を作ることができる学校」という風に変わりました。例えばテストだと、やったことすべて点数としてかえってくることになります。このように自分の努力がすべて結果として帰ってくるというシステマチックな構造の中に個人の意思というのが強く反映されるので自分自身で自由を作ることができると思っています。
私はこの様な自由を作ることができる学校の中で学び「余人をもって代えがたし」といわれる人材になるために頑張りたいと思っています。
体育局長 情報システムコース4年 山岡 松平
皆さんこんにちは!本年度体育局長を務めさせていただいております、情報システムコース4年の山岡です。今年の体育祭は4年ぶりとなる制限なしでの開催となりましたが、楽しんで頂けたでしょうか?
体育祭の運営者としても経験したことのない制限なしの体育祭、加えて雨天での延期ということで不安だらけでしたが、体育祭完全復活!と自信をもって言えるほどの大成功だったと思います。
時間がかかってしまいましたが、ようやく体育祭を完全復活させて来年へと繋ぐことができました。在校生、先生方、近隣の皆様、保護者の皆様、そして学生会員の皆の協力がなければ到底達成することが出来なかった結果です。感謝してもしきれません。本当にありがとうございました。さて、次の学校行事は高専祭です!みんなで楽しんじゃいましょう!
寮長 電気電子コース4年 上田 さくら